[原子力産業新聞] 2004年3月11日 第2226号 <1面>

[制度・措置小委] 参考人招き初会合

経済産業省は8日、「制度・措置検討小委員会(委員長=植草益・東洋大経済学部教授)」の第1回会合を開催(=写真)、参考人から意見を聞いた。同小委員会はバックエンドに対する経済的措置等、具体的な制度・措置のあり方を検討するため電気事業分科会の元に設置されたもので、今年末をメドに具体策を取りまとめる。

 同小委の委員には、「コスト検討小委員会」の委員を務めた金本良嗣・東大経済学研究科教授、佐々木弘・放送大教授、田中知・東大院工学系研究科教授の3氏のほか、大日方隆・東大院経済学研究科助教授が就任した。第1回会合には委員の他に参考人として、東京電力の築舘勝利副社長、関西電力の森本浩志副社長、ダイヤモンドパワー社の井上雅晴顧問、小熊竹彦・生協連政策企画部長が出席、意見を述べた。

 築舘東電副社長は、問題となっている「未回収費用」の内容について、電力自由化以前に規制料金に算入が認められなかった「再処理廃止費用、核燃料棒被覆管等のTRU廃棄物処分費」だとし、電力市場への新規参入者からも「広く薄く公平に回収すべき」と述べた。森本関電副社長は、経済的措置について「公的資金を希望しているものではない」と述べ、資金回収への仕組み作りを求めた。

 特定規模電気事業者(PPS)の立場から、ダイヤモンドパワーの井上顧問は、過去分の費用をさかのぼって徴収するのは、「レストランでの1年前の食事の調味料代を、今日になって請求するようなもの」であり「通常のビジネスでは認められない」と反発。バックエンドコストは発電コストの問題なので、「電力託送料金に上乗せされてPPSが負担することは飲めない」と述べた。一方同氏は、PPSが原子力発電所からの電力を購入し、バックエンドコストを負担することを逆に提案、「原子力発電からの安い電力を有効に利用したい」と述べた。

 生協連の小熊部長は、コスト回収について、一般消費者に理由と責任をはっきり説明できるものでなければならないとして、コスト的に「遜色ない」とされている原子力発電への「経済的措置」に否定的な考えを示した。

 委員間の議論では、佐々木委員が、バックエンドコストのそれぞれの要素について、既に手当てされているか、実コストと乖離があるかなど、1つ1つあたる必要があると指摘、事務局が対応することになった。大日方委員は、「発電と費用発生とのタイムラグが最大の問題」と指摘、事業者にとって長期間にわたるリスクのヘッジ手段がなく、リスクの受け手がいないため、市場に解決を委ねられないとした。また、未回収費用の負担方法により市場をゆがめるおそれがあると指摘。受益者負担で発電コストに算入すべきだと述べた。


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