[原子力産業新聞] 2004年3月11日 第2226号 <3面>

[原子力委員会] 子宮がん治療などで成果

東京で3〜5日に開かれたアジア原子力協力フォーラム(FNCA)コーディネーター会合について、町末男原子力委員は5日、記者会見し、2件の新プロジェクト開始での合意など、その成果を説明した。

今回新たに始まるのは、「アジアの持続的発展に果たす原子力エネルギーの役割」と「陽電子放出断層撮影診断(PET)」の2プロジェクト。

「持続的発展」プロジェクトは2004年度から3年間の予定で、FNCA参加国の環境、エネルギー、原子力分野の政策担当者や専門家を集め、急速にエネルギー消費が増加するアジアにおける原子力発電の役割や問題点を検討。京都議定書の第2約束期間(2012年以降)に向けた見直しで、各国の政策への反映を目指す。

PETプロジェクトは、マレーシアの資金と主導により、2005年から開始の予定。途上国が資金拠出も含めてプロジェクトをリードするのはFNCAでは初めて。同国は今年末までに2台のPETを導入する予定で、早期がんの発見に極めて効果的な同装置の利用について、専門家の派遣、医師や技術者の日本での研修も含め、その効果的な利用方法等について協力を行う。

現在進行中の13のプロジェクトでは、アジアの女性死亡原因の上位を占める子宮がんについて、放射線治療の治療効果を高めるために、治療マニュアル作成とその適用を進めるプロジェクトが、5年後生存率53%という好成績を挙げている。このプロジェクト以前、5年後生存率は30%前後だったという。


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