[原子力産業新聞] 2004年3月18日 第2227号 <4面> |
[高エネ研] 新ビームライン完成 タンパク質の構造解析に最高レベル環境高エネルギー加速器研究機構の放射光研究施設の新しいタンパク質結晶X線構造解析ビームライン「BL─5」がこのほど完成した。これにより同施設は最先端のタンパク質構造解析用ビームラインが2本稼働、世界最高レベルの実験環境を実現する。建設費用は約5億円、今年4月から共同利用実験の予定。 生命科学研究や創薬研究のため、産業界からはタンパク質を正確に迅速に解明したいという要望が強い。同施設では2002年度に「NW12」を完成させ、そのデータ収集の効率性に対して高い評価を得ている。今回完成した「BL─5」はこれに続く世界最高レベルのビームライン。 高分解能のデータ収集や大きな分子構造の研究などには大面積の検出器が必要になるが、「BL─5」は315ミリメートル角で画素数6144×6144ピクセルの日本最大のCCD検出器を導入した。最大画素数利用時でデータ読み出し時間1秒を達成。解析精度向上のため結晶回転軸の芯ブレも1ミクロン以下に抑え、より小さな結晶に対応する。 「BL─5」は放射光研究施設光源棟の第5セクションに設置され、多極ウィグラーという挿入光源により、通常の放射光より強いX線を取り出すことができる。また、X線の波長を変えた時に回析強度に生じる微少な変化を利用し、構造の手がかりを得る多波長異常分散法を用いることが出来る設計としている。 実験に使用できるビームタイムのうち30%は、国家プロジェクトである「タンパク3000プロジェクト」に使用される。 |