[原子力産業新聞] 2004年3月25日 第2225号 <2面>

[核燃料サイクル] 次世代技術・国協テーマにシンポ

日本原子力産業会議は18日、東京・港区の虎ノ門パストラルで、国際シンポジウム「原子力開発における課題と国際協力の意義−次世代原子力技術、燃料サイクルを中心に」(=写真)を開催した。

地球環境保全や安定供給の観点から原子力を基幹電源と位置付け、また資源の有効利用の観点から、高速増殖炉をはじめとする次世代原子力技術や燃料サイクル技術の開発推進が必要とされるわが国では、これら開発を的確に進めていくために各国が蓄積してきた技術や経験を最大限に活用することにより、安全性、経済性など課題の解決を図りつつ、国際協力により効率的かつ効果的に進めていくことが重要とされている。同シンポジウムはこのような状況を踏まえ、国内外の専門家を交えて将来の次世代原子力技術と燃料サイクルを中心に、国際協力のあり方、技術的・経済的側面からの次世代原子力技術の有効性について議論を行うことが目的。会場には250名を超える聴衆があつまり、熱心に聴き入っていた。

冒頭、挨拶に立った原産会議の宅間正夫専務理事は、今後増加する人口を維持するためにはエネルギーが必要、つまり環境に影響を与えることが必須であり、原子力を賢く使うことは「地球上の全ての生命に対する人間の使命だ」と、原子力利用の有効性を強調。加えてウラン238を、技術を使って有効利用することが次世代原子力技術であると、シンポジウムの趣旨を述べた。

次に、ルイス・エチャバリ経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)事務局長が、「世界の次世代原子力技術開発の展望と国際協力」と題し基調講演。同氏は今日の原子力の現状や政策上の課題の解説を行うとともに、「今後、原子力セクターで社会貢献をしていくには、研究開発をしていくことが必要だ」と述べ、@初期投資コストの低減A安全性・信頼性の維持B効率的な資源利用の推進(FBRが将来的に重要になる)C核拡散への抵抗性を高めるDセキュリティーを高める――を、今後の研究課題として挙げ、革新的原子炉や燃料サイクルの伴う原子力は「21世紀の技術だ」と述べ、国際協力により新技術を開発することの重要性を訴えた。


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