[原子力産業新聞] 2004年3月25日 第2225号 <3面> |
[英・王立工学アカデミー] 原子力の経済性を強調王立工学アカデミーは、電源間のコスト関係が、各種補助金や商業利益等のため、ゆがめられ透明性を欠いているとして、政策決定者が合理的なコスト情報を入手できるようにするため、PBパワー社に委託してこの調査を行った。名目割引率7.5%などの共通の経済条件の下で、新規に運開する各種プラントの発電コストを比較した。 比較の対象となった電源は、原子力、CCGTの他、オープンサイクル天然ガスタービン(OCGT)、石炭火力(微粉炭、ガス化複合、流動床)、さらに再生可能エネルギーとして、陸上と海上の風力発電、波潮力、家畜廃棄物を燃料とする気泡型流動床発電など。風力発電については間欠性電源であるため、バックアップ電源が必要と指摘、これを含めたコストも示している。調査はさらに、各種電源の燃料コスト上昇に対するセンシティビティや、炭素税導入による発電コストへの影響も検討している。 炭素税を考慮に入れない場合、グラフのように、原子力とCCGTが他のガス・石炭火力より経済的とした。風力などの再生可能エネルギーは、原子力より約1.6〜3倍高価で、風力はバックアップ電源のコストを考慮すると、原子力の2.3〜3.1倍となる。 二酸化炭素1トンあたり30ポンド(約5900円)の炭素税が課税された場合、各種石炭火力の発電コストは5ペンス(9.9円)/kWH以上へとほぼ倍となり、CCGTも3.3ペンスと50%高。このケースでは原子力発電が圧倒的に安価になるほか、陸上の風力発電と石炭火力のコストがほぼ拮抗する。 原子力発電について同報告書は、「CCGTの経済的魅力により、原子力発電所の新規建設が妨げられている」とし、競争市場においては、高い資本費と長い建設期間により、原子力の競争力が失われていると指摘した。同調査は、昨年行われたマサチューセッツ工科大学(MIT)の調査(本紙昨年10月30日号8、9面参照)から基礎データの多くを採用、100万kW原子力発電所の建設費を、kWあたり1150ポンド(約22万7000円)、運転期間が40年、設備利用率90%と仮定している。 |