[原子力産業新聞] 2004年4月8日 第2230号 <2面>

[原産] NPT、北朝鮮問題などで議論

日本原子力産業会議は3月30日、米国外交評議会エネルギー・セキュリティ・グループ副議長のダニエル・ポネマン氏(=写真右、左は柳井座長)らを招き、東京・港区でシンポジウム「国際核不拡散問題と保障措置の役割」を開催した。

会ではまず、柳井俊二座長(前駐米大使、中央大教授)の開会挨拶に引き続き、米国における北朝鮮問題の第一人者であるポネマン氏が、核不拡散体制の評価、極東アジアの安全保障、北朝鮮の核兵器開発への対応について、キーノートを発表した。

同氏は、旧ソ連邦からの核物質流出に代表される「流出核」による核拡散の脅威に言及。米国は核拡散脅威の低減のためロシアから500トン(核爆弾7000発に相当)の濃縮ウランを購入し、原子力発電に転用、利用しているといった現状を紹介するとともに、高濃縮ウラン、プルトニウムについては現在の所未解決であることから、「今後もこの努力を進めるべきだ」と述べた。

同氏はまた、NPT(核拡散防止条約)体制にも触れ、同体制は今後も核不拡散システムの要として強化すべきとしつつも、加盟国にとって原子力平和利用の利益を享受できるよう、改革の必要性を訴えた。

一方北朝鮮等の核開発について同氏は、情報協力、強力な安全保障関係、輸出規制等のあらゆる手段を動員して対処すべきあるとし、多国間の集団的取り組みが不可欠であるとした。

会は引き続き、アンドレ・ラガッテュ国際原子力機関(IAEA)保障措置局業務A部課長、武田修3郎 東海大学工学部教授、栗原弘善 ・科学技術広報財団理事長をパネリストに迎え、意見交換を実施した。


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