[原子力産業新聞] 2004年4月8日 第2230号 <2面>

[東北電力] 放射性物質汚染者診療で病院と覚書締結

東北電力は5日、女川原子力発電所構内における労働災害等による傷病者が、放射性物質による汚染を伴う場合の診療に関する覚書を、女川町立病院(院長=吉田洋一氏)と、締結したと発表した。こうした覚書が締結されるのは、02年の石巻赤十字病院との締結に続き2例目のこと。

原子力発電所構内で放射性物質による汚染を伴う傷病者が発生した場合、放射性物質による汚染の拡大を防ぐため、脱衣やふき取り、洗浄等の方法により汚染を取り除いたうえで、医療機関に傷病者を搬送して診療を受けることとなっているが、汚染が残った場合については、事前に受け入れ先となる病院の了解を得ることが必要となる。

このため東北電では、1999年に発生したJCO事故を教訓として、労働災害等による汚染傷病者の診療の必要性が医療関係者の間で認識されて来ていることを踏まえ、放射性物質による汚染を伴う傷病者が発生した場合の受け入れおよび診療について、より迅速かつ円滑に行われるよう、石巻赤十字病院および女川町立病院と協議を行っていた。

覚書では、原則として東北電が傷病者の汚染を取り除いた後に病院に依頼することとしているが、人命に関わるなど緊急の医療措置を必要とするときには、汚染が完全に取り除かれなくても診療を優先することを定めている。また、覚書実施に必要な事項として、@「通報連絡」A東北電による病院に対する「放射線管理上の助言」の実施B放射性物質による汚染を伴う傷病者受け入れのために必要な資器材を、あらかじめ準備、設置しておくなど「資器材の配備」B必要な講師・資器材の提供、対応訓練の定期的な実施等「教育訓練」――といった実施細目についても定めている。

東北電では「これにより、万一原子力発電所構内において原子炉施設の運転保守や定期点検等を実施している際に傷病者が発生し、放射性物質が衣服や体表面に付着した場合でも、女川町立病院においても円滑かつ迅速に受け入れられ、救急医療処置が行われることになる」としている。


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