[原子力産業新聞] 2004年4月15日 第2231号 <3面>

[米国] 大統領の不拡散構想受け G8で輸出規制提案

 米政府が今年6月の主要国首脳会議で、原子力燃料の生産・再処理技術を持たない国と、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書に未署名の国への原子力技術支援を禁止するよう提案、主要8か国(G8)による合意形成を目指していることが分かった。

 ブッシュ米大統領が表明した大量破壊兵器拡散防止の新提案を受けた措置。米政府高官やG8筋が明らかにした。高官は原子力拡散防止条約(NPT)の改正ではなく、G8や原子力技術の軍事転用防止を目的とした「原子力供給国グループ」(NSG)の「紳士協定」により大統領提案を実現させていく考えを示し、主要国による「有志連合」を通じて核拡散防止への実効措置を取っていく米国の基本姿勢を鮮明にした。

 米提案は、非原子力保有国による平和利用を保証したNPTの基本原則に反するとして、途上国からの反発は必至。原子力発電技術の売り込みに熱心なロシアなどG8内からも異論が出そうだ。

 高官はNPT体制下で北朝鮮やイランなどが極秘に原子力開発を進めてきたことを指摘し、「(平和利用への)無制限なアクセスは修正すべきだ」と言明。「NPT改正は極めて難しく非常に時間がかかる」として、G8やNSGで合意形成を優先する考えを強調した。

 同高官は「紳士協定」に関して「IAEAの査察下にある再処理技術を保有していない国は、新たな原子力計画に着手できない」と言及。その代償として原子力燃料を供給する新たな「メカニズム」を構築する方針を示した。(共同)


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