[原子力産業新聞] 2004年4月22日 第2232号 <1面>

[原産] 年次大会が開幕、新たに2民間原子力団体を創設 会長表明

 日本原子力産業会議の主催する「第37回原産年次大会」が21日、東京・文京区の文京シビックホールで開幕した。今年の年次大会は「どう考える――明日の日本の原子力」を基調テーマに掲げ、3日間・6セッションに渡り、国内外の専門家らが講演やパネル討論を実施。わが国を含む23か国・地域および、2国際機関から1000名以上が参加した。今後も基幹エネルギー源としての役割が大きく期待される一方、克服すべき課題が山積しているわが国の原子力界。21日の開会セッションで挨拶に立った西澤潤一原産会長は、現在の原子力を取り巻く課題の解決に向けて、新たに2つの団体を設立し、原子力産業界の力を結集していく方針を明らかにした。

 川口文夫中部電力社長が議長を務めた21日午前の開会セッションでは、主催者を代表して西澤潤一原産会長が所信を表明。その中で同会長は、昨今のわが国の原子力を巡る状況について、信頼は「まだ回復された状況にない」との認識を示した。

 同会長はまた、日本の原子力産業界が社会の信頼を回復し、今後とも重要な役割を果たして行くためには、「民間原子力産業界が現状に対する危機感を共有し、自ら意識改革と体制改革に向けて主体的に行動を起こしていかなくてはならない」と強調。この目標の達成に向け、原産外部に設置した委員会における議論の結果、2団体を設置し、「事故不祥事の絶無を期するとともに、既存の民間団体の力を結集して、再編、統合に早急に取り組む」方針を明らかにした。

 続いて挨拶した泉信也経済産業副大臣は、原子力はわが国経済社会の礎として重要との認識を示し、「ご来会の皆様がこうした事実を重く受け止め、引き続き活力溢れる事業を展開することを期待する」と、また宮腰光寛内閣府大臣政務官は、「原子力産業の更なる発展のためには、本日お集まりの皆様をはじめとする原子力に携わる方々が、気概と誇りを持ち続けることが何より大切」と、それぞれ挨拶。さらに河村建夫文部科学大臣(代読・坂田東一文科省研究開発局長)は、原子力が「人類社会の期待にしっかりと応えられるよう、今日この大会に御参加いただいている皆様方とともに全力を挙げて、研究開発に取り組む所存」と決意を表明した。

 また、大会準備委員会を代表して挨拶した茅陽一準備委員長は、今後の原子力推進上の問題点として(1)需要低成長化と原子力比率(2)核燃料サイクルをどうするか(3)如何にして原子力のイメージを好転させるか――を掲げるなど、年次大会での論点を示した。


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