[原子力産業新聞] 2004年4月22日 第2232号 <1面>

[総合資源エネ調査会電気事業分科会] 制度・措置小委 「未回収費用」で議論

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度・措置小委員会(委員長=植草益・東洋大学教授)は19日、第3回会合を開き、バックエンド未回収コストの扱いと、バックエンド費用の管理・運営方法、既存の引当金との整合性などについて、特定規模電気事業者(PPS)や消費者団体の代表から意見を聞き、委員間で議論を行った。

 これまでに発生した使用済み燃料に関わるバックエンドエンド費用の一部が規制電力料金への算入を認められておらず、電力自由化拡大を前に、総額7兆5000億円の「未回収費用」問題が浮上している。これらの未回収コストを、(1)一般電気事業者の需要家(2)全電力需要家(3)電力会社――のいずれが負担するか、また、料金原価算入以外の方法で電力会社が回収するかが焦点になっている。

 PPSを代表してダイアモンドパワー社の井上雅晴顧問は、PPSが原子力発電所からの電力を購入することを通じて、バックエンドコストを負担するとした第1回会合での発言を詳しく説明。年商10億kWh規模のPPSの場合、原子力発電所からの電力を3.6万kW分(年間3.12億kWh)購入、発電コストに未回収コスト分を加えた「原子力発電の電力買取りメニューを提示する用意がある」と述べた。

 日本生活共同組合連合会の小熊竹彦・政策企画部長は、(1)日本原燃の事業の効率性と透明性の確保(2)発生者負担の原則(3)燃料原価として算入する範囲の明確化(4)電力会社に積み立てられてきた「別途積立金」「原価変動調整積立金」などの活用(5)「使用済核燃料再処理引当金」と「原子力発電施設解体引当金」の運用利益の活用――等を提言した。

 委員からは、PPSの原子力発電電力購入案は、中長期的には検討すべきだが、コスト回収策としてはかみ合わない、引当金・積立金は趣旨が異なるので取り崩しは不適当との意見、日本原燃の効率化と透明性を求める提言に賛同する意見などが出された。また、社内で留保されている各種引当金の運用利益が特定できないなどの指摘もあった。植草委員長は、託送料金に上乗せしてバックエンドコストを回収するスキームには無理があるとの意見もあり、電力側から話を聞きたいと述べた。

 バックエンド費用の管理方法については、運用利益の明確化の面からも、より確実・透明な外部機関での積み立てを求める声が出された。しかし、内部留保されてきた引当金を外部へ拠出するさいの経営への悪影響、内部留保と外部積み立てとの運用益差や運用性の問題等、メリット・デメリットの指摘があった。


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