[原子力産業新聞] 2004年4月30日 第2233号 <1面>

[原子力委] 長計「意見聴く会」 橋本茨城県知事らから聴取

 原子力委員会は14日15日に都内で第11〜13回の「長計についてご意見を聴く会」を開催した。招聘者は内藤正久・日本エネルギー経済研究所理事長(11回)、橋本昌・茨城県知事(12回)、木村逸郎・京大名誉教授、田中知・東大院教授、藤井靖彦・東工大教授(13回)。

 内藤理事長は要望事項として、(1)原子力の位置付けと官民の役割分担の明確化(2)自由市場で生き残るための原子力政策の明示(3)原子力委員会の意志決定――などを挙げた。エネルギー戦略を考える際、自国に核燃料サイクルによる自立エネルギーを持つ意義は大きいと指摘。使用済燃料は全量再処理する必要はなく、再処理事業の弾力化が必要とした。また、原子力委員会は基本方針の先行提示と弾力的な見直しが必要で、安全委員会、総合エネ調との1体的な政策推進が不可欠と提言した。

 橋本知事は安全確保、研究開発、人材育成、放射性廃棄物処理、原子力教育、災害対策、立地地域との共生、国際協力など幅広く要望。放射性廃棄物の早期の処分体制確立を求め、原子力2法人の統合では茨城県内への本社設置を要望した。長計については国民的な議論を深め、数値目標など国民に分かりやすい内容にし、エネルギー需給計画と整合、原子力にプラスイメージが持て夢のあるものにすべき、とした。

 第13回では3氏が主に大学における原子力の人材育成について提言。木村氏は昨年3月に日本学術会議がまとめた「人類社会に調和した原子力学の再構築」を基に、原子力研究者などが社会との連携を強めることが重要とした。田中教授は大学間原子力研究教育ネットワーク構想、産官学共同研究の強化などについて提言。藤井教授は革新的原子力公募研究の継続を要請、併せて産業界や研究機関などとの連携による大学研究の活性化の必要性を強調した。


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