[原子力産業新聞] 2004年5月13日 第2234号 <3面>

[米国] 新規原子力発電所建設に向け TVAなどABWR検討

 米国で新規原子力発電所建設の検討に向けた動きが盛んになるなか、テネシー川流域開発公社(TVA)を中心とした同国3番目のコンソーシアムが結成された。同コンソーシアムは、改良型沸騰水型炉(ABWR)を対象に、米原子力規制委員会(NRC)から建設・運転一括許認可(COL)取得を視野に入れ、4月23日に米エネルギー省(DOE)に補助事業の申請を行った。

 TVAが主導するコンソーシアムは、同社のほか、GE、東芝、米国濃縮会社(USEC)、グローバル・フエル・アメリカ、ベクテル・パワー社などからなり、アラバマ州にあるTVAのベルフォンテ原子力発電所サイトで、ABWRを建設する場合の可能性調査を行う。同サイトでは、126万kW・PWR2基が建設中だったが、それぞれ1988年と95年に建設が中断されている。

 TVAは可能性調査に約400万ドルかかるとしており、DOEの「原子力2010計画」のもとで、DOEがこの半額を負担するよう申請している。

 TVA主導によるコンソーシアムは、今年3月にドミニオン電力やカナダ原子力公社(AECL)が作成したグループ、およびコンステレーションやエンタジーなどの大手原子力発電会社がWH、GEなどと作った「ニュースタート・エナジー開発社」に続く、米国で3番目のコンソーシアム。いずれのグループも、DOEの「原子力2010計画」のもとで、同省の援助を得ながら、改良型炉の許認可について、NRCのCOLが機能するかどうか、検証することを目指している。

 ニュースタート社は、WHの受動的PWRであるAP1000と、GEの改良型簡素化BWRのESBWRの可能性を調査、4200万ドルの予算を見込む。ドミニオン電力のグループは、改良型CANDU炉であるACR700をターゲットとし、見積もり予算も約五億ドルと、大規模なもの。いずれのグループも、必要予算の約半分をDOEに拠出を求めているが、DOE側は、予算の規模や拠出時期はまだ決まっていないとしている。


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