[原子力産業新聞] 2004年5月20日 第2235号 <1面>

[資源エネ庁] 2030年度で原子力8〜17基増

総合資源エネルギー調査会需給部会は17日、第7回会合を開催し、2030年度までのエネルギー需給の定量的見通しを審議した。原子力は10〜30年度の運開がレファレンス(比較対象基準)ケースで6基、ハイケース13基、ローケース4基と想定。30年度の原子力電力シェアは省エネ・新エネの進展速度やマクロ経済が大きく変化しない場合、00年度の34%から、それぞれ38%、47%、37%と予測した。

今回、資源エネルギー庁は、エネルギー需給見通しの暫定版を提示。現行の技術体系や施策を前提にマーケット動向、民間取組みなどが大きく変化しないレファレンスケースを設定、これに不確定要因として省エネ・新エネの技術進展、原子力、外的マクロ要因の3項目を取り上げ感応度分析を行った。

電力需要はレファレンスで00年度9400億kWhから30年度1兆2200億kWhになるが、省エネ進展ケースでは20年度の1兆400億kWhをピークに1兆百億kWhへと減少すると予測。

原子力は00〜10年度までの運開予定をすでに運開済の女川3号を除き浜岡5号、東通1号、志賀2号、泊3号の4基と想定。一0〜30年度までのレファレンスは電力需要増分に比例する6基、ハイケースでは立地準備中の13基、ローケースでは設置変更許可申請済の4基のみとした。

原子力のシェアは、他の不確定要因がレファレンスで38%だが、省エネ進展の場合には、化石燃料消費量が減少するため49%に上昇する。また、エネルギー自給率は新エネの増大もあり、00年度の18.7%からレファレンス22.6%、ハイケース26.1%、ローケース21.9%と予測。同じく2酸化炭素排出量は90年度に比べ2300万トン増、2500万トン増、1000万トン増としている。

原子力の設備利用率は10年度以降、85%以上を想定しているが、これに関連し、委員から長期サイクル運転を含め、科学的・合理的な保安規制が必要との意見が出された。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.