[原子力産業新聞] 2004年5月20日 第2235号 <1面>

[福島県] サイクル政策見直し要望

福島県の佐藤栄佐久知事は14日午後、東京・霞ヶ関に近藤駿介・原子力委員長を訪ね、「核燃料サイクルについての要望書」を手渡すとともに、今後の核燃料サイクル政策や長計見直し等について会談した(=写真)。

佐藤知事は、「核燃料サイクルについての要望書」を近藤委員長に手交した。要望書は、資源節約、経済性、プルトニウムバランス、FBRの実現可能性など、核燃料サイクルには「多くの疑問が投げかけられ」、再検討やさらなる議論を求める声が高まりつつあるとし、国がこのまま十分な検証・論証なしに核燃料サイクルを推進すれば、近い将来、原子力発電や電源立地地域に大きな影響を与え、更に大きな国民負担を強いることになりかねないとしている。国が核燃料サイクルについて、「いったん立ち止まり」、政策評価や国民的論議を経て、今後のあり方を決めるよう求めている。

近藤委員長との会談で佐藤知事は、長計改訂にあたり、原子力委員会が原子力開発40年間を見直し、自信を持って方向を示すように求め、具体的には直接処分の検討着手を求めた。

近藤委員長は、日本が循環型社会を目指す中で、再処理路線は「リユース、リサイクル、リデュース」の原則と合致するとし、「これを変えることは、日本の哲学を変えるのに匹敵する」と指摘した。

会談後の記者会見で佐藤知事は、近藤委員長から原子力委員会との意見交換を求められたことについて、2年前からエネルギー政策、核燃料サイクル、地域振興等について検討、見解を明らかにしており、一昨年に原子力委員会と意見交換を行ったことから、新たな意見交換の場には、出るつもりがないと述べた。


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