[原子力産業新聞] 2004年6月17日 第2239号 <4面> |
[原研] イネの害虫防除 原研など飛来予測システム開発日本原子力研究所は、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構と、ウンカの飛来を高精度に予測するシミュレーションシステム(ウンカ、いつ来るぅんか?)を完成した。 これは、原研が開発した放射性物質の大気中の拡散予測技術を応用し、平成13年度からイネの重要害虫であるウンカ類のアジア地域長距離移動の高精度予測に関する研究を進めてきたもの。 ウンカ(=写真)はイネの害虫で、海外から飛来、イネの汁液を吸って増え、イネに害を及ぼす。梅雨期に中国南部から千km以上を飛行、九州をはじめ西日本各地へ多数飛来すると考えられている。ウンカは体長4mmと小さく、自力では秒速1m程度での移動しかできないが、長距離の移動を可能にするのは梅雨時に東シナ海上で発達する、秒速10m以上の南西風(下層ジェット)。これに運ばれたウンカは、1日から1日半で、中国から九州に到着する。 ウンカが日本のどの地域へいつ飛来するかがわかれば、ウンカの発生開始時期、被害の発生時期などが予測できるため、適切なウンカの防除対策が可能となる。今回のシステムでは、アジアのどの地域から、日本のどの地域にウンカが飛来するかを、2日先まで予測することができる。 このシステムの評価を行った結果、2003年の梅雨期における予測精度は74%で,これは同期の降雨予報の的中率とほぼ同じ精度だった。2004年のシーズンから、実用システムとして予測を開始する。 リアルタイムウンカ飛来予測は、http://agri.narc.affrc.go.jp/indexj.htmlで閲覧できる。 |