[原子力産業新聞] 2004年6月17日 第2239号 <4面> |
[原研] ITER向け 磁場乱れ制御技術を開発日本原子力研究所はこのほどJT−60を使用し、磁場乱れによるプラズマ劣化を自動抑制する技術を開発した。磁場乱れを自動検出し、瞬時に高周波を入射して補完する技術で、国際熱核融合実験炉(ITER)の高プラズマ圧力化に貢献する見通し。 トカマク型核融合炉で自己点火条件を満たす高温高密度のプラズマを維持するには、局部的に発生するプラズマ電流欠損による磁場の乱れを抑制する必要がある。原研はすでに欠損部に高周波を入射して電流補完し、乱れを抑制できることを実証していたが、今回、乱れの発生位置をリアルタイムで追跡し持続的に抑制する技術を開発した。 磁場の乱れが発生した場所では電子温度が揺らぐが、本システムは、揺らぎ位置を高い空間分解能をもつ電子温度分布測定装置により検出。その位置にアンテナからの高周波をアルミナ分散強化銅の可動ミラーにより入射する。揺らぎ位置データ取得後、高周波入射までの応答時間は10分の1秒、照射精度は2cm。揺らぎ位置計算ソフトの高速化と可動ミラーの高速応答化により実現した。揺らぎを早期に発見し瞬時に高周波照射することで高周波電力を低減できる。 原研では、本技術によりITERの定常運転の目標圧力指数2〜3を実現できる見通しを得たとしており、ITERでは高周波供給部と可動ミラーを組み合わせたポートを6か所配置する予定。 |