[原子力産業新聞] 2004年7月8日 第2242号 <1面>

[東京電力] 準備工事に着手

日本原子力発電は2日、同社が建設を予定している敦賀発電所3、4号機(=図)の準備工事に着手すると発表した。6月29日に福井県知事より、公有水面埋立法に基づく埋立免許などの許認可を得たことを受けてのことで、原電では同日より護岸・防波堤の構築などといった準備工事を開始した。

世界初の炉系となる「改良型加圧水型軽水炉(APWR)」で0計画されている敦賀3、4号機の出力は153万8000kWと、完成すれば世界最大級の原子力発電ユニットとなる。なお運開については、3号機が2014年3月を、また4号機が2015年3月を、それぞれ予定している。

敦賀発電所3、4号機建設を巡っては、02年2月に第1次公開ヒアリングが開催され、同年8月には電源開発基本計画に組み入れられるなど、これまで順調に推移していた。計画では既設1、2号機西側の、若狭湾に面した原電社有地を活用して増設される予定となっており、建設費は両機合計で、約7700億円(初装荷燃料費を除く)が見込まれている。

敦賀3、4号機の最大の特徴として挙げられる炉系は、通商産業省と民間が共同で行った「第3次軽水炉改良標準化計画」の成果をもとに、その後の技術進歩ならびに国内外の運転保守経験等を取り入れたAPWR採用された。

APRWは、@非常用炉心冷却系(ECCS)の強化A炉内構造物の簡素化および、蒸気発生器の信頼性向上B高度なデジタル技術を駆使した計測制御システムの採用Cウランの有効利用――などにより、安全性、信頼性、運転性、炉心性能の面で、従来型のPWRより、一層の進化を遂げていることを、主な特長としている。

原電ではAPWRの初号機となる3、4号機により、「わが国の軽水炉技術のさらなる発展に、大きく貢献するものと位置づけることができる」とするとともに、準備工事を進めるにあたり、「安全確保はもとより環境保全、信頼される発電所作りに最善を尽くすとともに、今後とも地域社会と共存共栄できるよう最大限の努力をしていく」としている。


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