[原子力産業新聞] 2004年7月15日 第2243号 <1面>

[原子力委員会] 策定会議がサイクル政策議論

原子力委員会は8日、長計の第2回新計画策定会議を開催し(=写真)、核燃料サイクル政策の論点について議論した。同会議は早ければ次回会合にも論点を取りまとめ、各論点の定量的評価案を検討する小委員会を設置の予定。

サイクル政策の論点については様々な意見が出された。「直接処分有利のレポートは、米国内事情により作成されたもので、我が国では安全保障の観点が重要」(神田委員)、「直接処分は低コストだが環境負荷が大きく、循環型社会の中で環境負荷をどこまで許容できるか問題」(内山委員)、「直接処分、プルサーマルとFBR、多様な中間貯蔵などの総合評価が必要」(山地委員)、「技術面の議論が重要、安心感など定量化し難い面の扱い方が課題」(山名委員)、「コストだけではなく技術的、社会的成立性を考える必要がある」(藤委員)、「MOX燃料の様々な課題について議論すべき」(伴委員)、「ウラン供給の安定性、安全保障、技術開発の波及効果などを議論すべき」(岡本委員)、「国際比較の視点が重要」(千野委員)、「直接処分は環境負荷、引き受け手があるかなどの議論が必要」(井上委員)など。

一方、今会議には参考資料として経済産業省、原子力委員会、電気事業連合会がそれぞれ過去に試算した直接処分と再処理のコスト比較に関する資料を提出。これに関し、「試算未公表の経緯について、本会議で総括すべき」(伴委員、渡辺委員)、「本会議は今後の長計を議論する場、この件に時間を費やすべきではない。必要なら別の場で議論すべきで、マスコミに左右されない議論が必要」(草間委員)などの意見が出された。

近藤議長は「非公開で開催されていた当時の資料でもあり、本会議では、これ以上当時の経緯などの議論は行わないが、今後も何らかの資料の存在が判明すれば本会議に提出をお願いしたい」とした。このほか藤委員は、「前会議で、電事連は報道内容のような直接処分費用を算出した事実はない、と申し上げた。今回公表したものは過去の知見のないケーススタディーであり、隠蔽したという事ではない」と述べた。

新計画策定会議構成員(順不同、原子力委員を除く)


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