[原子力産業新聞] 2004年7月22日 第2244号 <1面>

[原子力安全委員会] 第2次公開ヒア開催

原子力安全委員会は21日、島根県鹿島町の町民会館で、島根原子力発電所3号機(ABWR、137・3万kW)増設に関する第2次公開ヒアリング(=写真)を開催、地元住民18名が意見陳述を行い、地元3市町から約200名が一般傍聴人として参加した。陳述人からは、ABWRの信頼性、環境放射能、耐震性やサイト周辺の活断層などの質問が行われた。会場やその周辺で反対活動等はなく、ヒアリングは17時30分に無事終了した。

島根3号機計画は、1997年3月、中国電力が地元に増設を申し入れ、98年11月には第1次公開ヒアリングが行われた。安全委が第2次公開ヒアリングを開くのは、2002年11月の泊3号機以来、ほぼ2年ぶり。今回、会場には陳述人、一般傍聴人、特別傍聴人ら約280名が詰めかけた。

ヒアリングは、安全委の松浦委員長、東委員、早田委員が議長団を形成し議事進行を担当、意見陳述人の質問に原子力安全・保安院が答える形で行われた。

開会にあたり松浦委員長は、「本日寄せられた意見は安全委等での審議に参酌し、その結果は公開する」と挨拶、続いて保安院の平野原子力発電安全審査課長が、安全審査の概要を説明した。

今回意見陳述を行ったのは、鹿島町から10名、松江市7名、島根町1名の計18名。応募者22名の中から、安全委員が3号機原子炉の固有の安全性に関する意見かどうか判断、選んだもの。1人目の意見陳述人となった鹿島町の農家・袖本明士氏(64)は、「3号機増設に伴い通常運転時に周辺環境に放出される放射線の量が多少なりとも増えるのではないか、人体や農産物への影響はないのか」と環境放射線の監視体制や、情報公開について質問。保安院からは、「放射性物質の放出量が増えるのは事実だが、線量目標値を十分下回る」とし、人体や農作物への影響は無視できるとした。また、モニタリングポスト等の環境放射線監視やサンプリングによる環境放射能の測定体制について説明、測定された情報は、島根県のホームページ等でリアルタイムに公開されると強調した。

島根発電所から3kmの場所に住む主婦の岸実枝子氏(66)は、2号機の格納容器内ボルトの締付不足で原子炉が停止した事象を取り上げ、国の検査態勢のあり方および、運開後30年になる1号機の廃炉について質問。

保安院は、設備の設計、建設、運転の各段階で検査が行われるとし、また建設工程ごとにチェック、使用前検査を行うと説明した。2号機の水漏れについては「フランジの締付に関する品質保証が機能していなかった」とし、品質保証検査を通じて検証すると強調。1号機については毎年の定期検査のほか、30年目からの検査によって健全性を確認するとし、廃炉については、「経済性等を考慮して事業者が判断する」と述べた。


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