[原子力産業新聞] 2004年7月22日 第2244号 <2面>

[原子力委員会] 第3回新計画策定会議開催 次回会合で複数シナリオ提示

原子力委員会は16日、第3回新計画策定会議を開催、前回に続き核燃料サイクル政策の論点について議論した。事務局は次回会合(今月29日)に、直接処分も選択肢に含めた複数の政策シナリオ案を提示するとともに、各シナリオ案を多角的・定量的に評価する小委員会の構成案を示す予定。

核燃料サイクル政策では様々な論点が提起されているが、政策シナリオについて総合的・定量的で分かりやすい評価案が必要、との認識ではほぼ一致している。次回提示される複数案は、政策シナリオの選択肢の基礎となるもの。直接処分の選択肢も盛込む方針で、小委員会では、各シナリオの利点や欠点を経済性、技術性など多角的に検討し、評価案を作成する。経済性は分かり易いとの観点から、kWh当たりの単価で評価する方針。

小委員会の構成員は、策定委員の中から選任する。経済性、技術性、社会的成立性などを評価するため、「データ作成において電事連、JNC、原研などの協力が必要。併せてNGOの参加も考えたい」(近藤議長)としており、8名前後の人員を予定。来月には第1回会合を開催、今後、策定会議と小委員会を並行して開き、小委員会での評価案を策定会議で議論するというかたちで審議を進める。

今会合でも様々な論点が指摘されたが、山名委員は評価項目として、ウラン資源見通し・資源節約、経済性、使用済燃料蓄積問題、安全保障、社会性、核不拡散、廃棄物最適化、地域共生など8項目を指摘。井上委員は1世帯当たりの下水道処理年間負担額(2万9000円)と同じくバックエンド負担額(1134円)の試案を示した。笹岡委員は重要度、緊急性などにより、評価項目に優先順位を付けることが必要と指摘。

また、神田委員はエネルギー基本計画の枠組内での議論か枠組みを超えた議論が可能かの判断が必要とし、内山委員は各政策を評価し選択する際の合意の難しさを指摘した。

このほか、近藤議長は出来るだけ早い時期に、原子力施設が立地する自治体の首長の意見を聴取したい、との意向も明らかにした。同会議には橋本昌・茨城県知事、河瀬一治・敦賀市長が委員として参加しているが、橋本知事からも全国の立地地域の首長からの意見聴取の要望が出されている。


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