[原子力産業新聞] 2004年7月22日 第2244号 <2面> |
[電中研] ウラン・プル一括回収試験に着手電力中央研究所と核燃料サイクル機構は9日、共同で、乾式再処理のもつ優れた特性とされる、ウランとプルトニウムを一括回収する一連のプロセス試験に、わが国で初めて着手すると発表した。 乾式再処理技術は工程が簡素でかつ設備が小型化できることから、経済性の向上や廃棄物発生量の低減が期待される先進的将来技術。また近年は核拡散抵抗性の高さなどでも高い注目を集めるようになっており、現在は米国のAFCIプログラム、欧州の6th Frameworkプログラム、IAEAのINPROなどといった多くの国際プログラムにおいて「最も有望な原子力革新技術のひとつ」として取り上げられている。わが国においても、電中研が米エネルギー省やEUなどと共同で技術の成立可能性を検証してきたほか、サイクル機構も電気事業者と共同で推進しているFBRサイクル実用化戦略調査研究の一環として、研究開発を推進。02年には両者の技術を総合することを目指し、高純度アルゴン封入グローブボックスなど主要な乾式再処理プロセス試験装置を開発し、サイクル機構東海事業所内の高レベル放射性物質研究施設(CPF)に設置して、非放射性物質による試験を行ったほか、03年にはウランを用いた試験に着手している。 今回発表された試験はウラン試験の成果を受けて行われるもので、プルトニウムとウランとの混合酸化物の形態で試験装置内に搬入し、プルトニウムとウランを一括回収する計画。初めて酸化物燃料の還元からアクチニドの精製・回収、さらには燃料インゴットの製造までを一貫して行うことにより、リサイクル工程としての乾式再処理の成立性を明らかにするという点で、従来の試験から「1歩進んだ位置付け」になっているということだ。 具体的にはプルトニウム数10グラム、ウランを100グラムほど使用して、還元や電解精製、蒸留、燃料サンプリングなどからなる一連の乾式再処理プロセスにより、核燃料物質の精製・回収を行う。 なおスケジュールは7月中旬より、06年3月末まで。この期間中に@乾式再処理により、酸化物燃料と金属燃料のいずれからもプルトニウムとウランが高い収率で回収できることAプルトニウムが単独ではなく、常にウランと一括して回収されることB回収したウランやプルトニウムが、高速炉での燃焼や消滅に適する程度に核分裂生成物が除染されること――の確認が行われる予定だ。 |