[原子力産業新聞] 2004年7月22日 第2244号 <3面>

[米・DOE] ネバダ州の訴え退ける

米ワシントンの連邦控訴裁判所は9日、エネルギー省(DOE)がネバダ州ユッカマウンテン(=写真)に建設を計画している使用済み燃料貯蔵所プロジェクトについて、ネバダ州が、憲法違反として建設差し止めなどを求めて起こしていた訴えを、退ける判決を下した。  ネバダ州は、2002年に上下両院を通過した、ユッカマウンテンに貯蔵所を建設するとの共同決議を、憲法違反として訴えていたが、控訴裁判所はこれを退けたもの。

しかし同裁判所は、米環境保護局(EPA)が地下水中の放射性物質規制を処分から1万年に限定して決めたことを、「全米科学アカデミー(NAS)が行った、1万年以降の期間も考慮すべきとの勧告から、不適切に逸脱している」と判断、今後の状況によっては、プロジェクトの遅れにつながる可能性も出ている。

これについて、米原子力エネルギー協会(NEI)は、@EPAと米原子力規制委員会(NRC)が規制期間を1万年以降に延長するA規制期間を1万年とする法律を制定する――等の手段があると指摘、「DOEの作業は、この判決によって影響を受けない」としている。

エイブラハムDOE長官は、「控訴裁判所はサイト選定に関するすべての訴えを退けた」と判決を歓迎。1万年間の規制期間についても、「裁判所はこの基準の科学的合理性に疑問を呈していない」として、DOEがEPAや議会と協議して、適切な措置を取るとしている。DOEは今年12月中にも、NRCへユッカマウンテン建設の許認可申請を行う予定。

1月に行われた口頭弁論で、ネバダ州と反対派の天然資源保護協会は、EPAの放射線防護基準に異議を唱え、ユッカマウンテンに埋められた放射性物質からの放射線のピークは、1万年より後に出現すると主張。ネバダ州は、規制期間を30万年間とすべきだとしている。


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