[原子力産業新聞] 2004年7月29日 第2245号 <4面>

[東芝] 遠隔運転保守サービス強化

東芝は、ITを活用した原子力発電プラントの遠隔運転保守サービス「e−TOPS」(=図)への取組みを一段と強化する。すでに提供中の遠隔監視、遠隔検査など4種類のコンテンツに加え、1、2年後に水質診断、熱効率診断などのコンテンツを追加し、サービス内容をより充実。同サービスを提供する発電プラントの拡大を目指す。

東芝は、従来からプラントを納入した発電所に原子炉やタービンに関する各専門家を常駐させ、電力会社の運転保守活動を支援する東芝運転プラントサービス(TOPS)活動を実施している。しかし、ここ数年、電力自由化などで、運転保守の費用抑制が求められるとともに、より効率的で迅速な対応への要望が強まり、2年前からはインターネットやモバイル機器を駆使したサービス「e−TOPS」の提供も開始した。

現在提供中のサービスコンテンツは遠隔監視、同検査、同診断、技術支援の4種類。監視は運転・保守作業の現場から動画/静止画、音響、振動などの情報をリアルタイムに伝送、作業支援や設備監視を行う。現場への指示はヘッドマウントディスプレイとヘッドホンを介して行う。検査は設備機器・部品の点検画像データを伝送、東芝でスケッチ画変換や定量値処理などの画像処理により検査記録表に加工し、データを返送する。

診断は、設備機器の状態監視データを機器毎にカルテデータとして管理・伝送し、設備状況の診断に基づく最適な点検周期、補修個所などの保守計画を支援する。また、技術支援は運転・保守業務で生じる技術的問い合わせや評価依頼をウエブを介して受付け、設計・製造技術者が回答する。

今後1、2年以内に冷却水などの水質診断、プラント全体の運転状況を把握できる熱効率診断などのサービスコンテンツも追加の予定。「ユーザーと相談しながら予備品手配、保守訓練教育、設備改善などのコンテンツも検討する」(同)としている。最新のモバイル機器の導入を進めるとともに、画像処理技術や専用センサーの開発などにより、システムの高度化に取り組む。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.