[原子力産業新聞] 2004年8月5日 第2246号 <1面>

[原子力委員会] 再処理と直接処分 比較評価へ技術検討小委

原子力委員会は7月29日、第4回新計画策定会議を開催、事務局が示した核燃料サイクル政策の基本シナリオ案やシナリオを評価する視点などについて議論した。評価に必要な専門事項を検討する技術検討小委員会の構成案も提示され、了承された。小委員会の委員は8名で、委員長には筑波大学大学院の内山洋司教授が就任。今月10日に第1回会合を開催する。

事務局が示した基本シナリオ案は、@全量再処理(現行長期計画)A部分再処理(一定量再処理し残りを直接処分)B全量直接処分C当面貯蔵(全量中間貯蔵し今後の技術動向などにより決定)――の4種類。

委員からは、「シナリオは再処理、直接処分、中間貯蔵などの要素で構成されるため、要素区分による評価が適切」(山名委員)、「将来的にFBRサイクルの位置付けを考慮したシナリオを検討すべき」(田中委員)、「電気事業分科会で議論された制度措置を前提としない幅広いシナリオの選択が必要」(伴委員)、「当面は中間貯蔵し将来再処理するという選択肢もあり得る」(内山委員)、「FBRサイクルまで含めた検討が必要で、部分再処理は政策意義が不十分となるため不要」(殿塚委員)などの意見が出された。当面貯蔵については、意志決定の先送り、中間貯蔵後の方策が明確でなければ立地も困難、など否定的な意見が多かった。事務局では今月11日開催の次回会合に、今会議の意見を反映したシナリオ修正案を提示し、更に議論を深める予定。

シナリオを評価する視点では、「将来的な資源枯渇に備える再処理の価値を直接処分との比較に十分反映させるべき」(山名委員)、「現政策から変更の場合、変更に必要なコストを考慮すべき」(勝俣委員)などの意見が出されたが、経済性、セキュリティー、環境適合性、技術的・社会的成立性など多角的・総合的な視点が必要との点ではほぼ一致。

開催日程の関係から今回が初参加となった河瀬委員(敦賀市長)は「地元の『もんじゅ』への理解が進んでおり、『もんじゅ』の位置付けを新長計に盛込んで欲しい」とした。

技術検討小委員会は当面、直接処分方法の概念の整理、これまでの経済性試算の確認、コスト試算の前提及び試算方法の整理、コスト試算、専門技術的な事項などを検討する方針。毎月1〜3回程度開催し、策定会議に適宜報告する。策定会議委員の中から選出された8名で構成するが、技術的検討に関しては、核燃料サイクル開発機構及び日本原子力研究所の専門家が参加する予定。

小委員会委員は次のとおり(内山委員長以外)。佐々木弘・放送大学教授、田中知・東京大学大学院教授、伴英幸・原子力資料情報室共同代表、藤洋作・電事連会長(代理、佐竹誠・東京電力常務)、山地憲治・東京大学教授、山名元・京都大学教授、和気洋子・慶應義塾大学教授


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