[原子力産業新聞] 2004年8月5日 第2246号 <3面>

[カナダ] ピッカリング1再開へ

カナダのオンタリオ州政府は7月7日、電力需要の増加を受け、休止中のピッカリングA原子力発電所1号機(CANDU、54・2万kW)の運転再開を承認した。同機は、1997年12月以来停止しているが、2005年6月に休止状態を解かれ、同年12月に商業運転を再開する予定。ピッカリングA発電所(1〜4号機)は、1971年に運開し、1997年に運転休止した。2003年9月には、4号機が商業運転に復帰、ピッカリングB発電所(5〜8号機)はすべて正常に運転を続けており、停止を続けるのは2、3号機となる。

カナダ・エネルギー省のダンカン大臣によると、発電所を運転する公営電力事業者のオンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が率いるこのプロジェクトは、最短のリードタイムでクリーンで多様なそして信頼性のある電力を州に供給するために必要であるという。1号機の運転再開は、およそ9億カナダドル(約750億円)の費用がかかるが、同規模の複合サイクルガス発電所を建設するよりも安価。

年初、オンタリオ州エネルギー政策特別委員会は、原子力を州の将来のエネルギー源として残すことを勧告、原子力発電所の改良または新規建設の決定を迅速に行うよう指示した。

今年6月25日、ダンカン大臣は、オンタリオ州で最高250万kW分の発電容量について、新規発電所か停止中の発電所を復活させるかで、2005年早期までに確保するよう求めた。環境上の理由から、2007年までに石炭火力発電所7基の閉鎖をオンタリオ州政府は確約している。今回の件は、原子力発電所の閉鎖を公約したものの、電力需要の増加とクリーンな大気規制により、その実現が困難になる実状を反映している。


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