[原子力産業新聞] 2004年9月2日 第2249号 <2面>

[文科省] TRACY自動停止で安全委に調査結果を報告

文部科学省は8月26日、日本原子力研究所東海研究所の過渡臨界実験装置(TRACY)が6月17日に自動停止したことについて、原子力安全委員会に調査結果を報告した。

自動停止は、1600MWで過渡出力(実験等のため、出力急上昇運転の状態)運転試験中の17日午後4時過ぎ、反応度抑制のため調整トランジェント棒を引き抜いた際に、安全棒3本のうちの1本が炉心タンク内に落下し、インターロックが作動して燃料溶液が炉心タンクから貯槽に戻され、発生したもの。

原因について、原研では、装置を分解点検したところ、当該安全棒本体と電磁石との間でポリエチレンシートの小片と金属片が発見されたことから、これら異物(ポリエチレンシートが主で、金属片の影響は無視できる)の挟み込みによって電磁石の安全棒保持力が低下し、過渡出力運転により生じた炉心タンク圧力変動が外力として作用し、安全棒が電磁石からはずれる誤作動が生じたと推定。

また、今回の事象に対する再発防止対策としては、異物の発生防止のための物品管理の徹底のほか、異物混入防止のための措置として、(1)作業環境の管理(2)作業手順の改善(3)組立時目視点検の強化──などを挙げている。


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