[原子力産業新聞] 2004年9月2日 第2249号 <3面>

[IAEA] サイクル国際管理構想 専門家会合を開催

【ベルリン8月30日共同】国際原子力機関(IAEA)は30日、核不拡散体制の立て直しを図るため、核燃料の生産や再処理、廃棄物の処理に至るサイクルの国際管理を検討する第1回専門家委員会をウィーンの本部で開いた。

 委員会は、ペロー前IAEA事務次長が委員長となり計23人で構成し、9月3日までの5日間の日程。初日の委員会には、遠藤哲也・外務省参与(前原子力委員会委員長代理)をはじめ、各国の専門家約20人が参加。国際管理の具体策などを協議し、来年3月の理事会に報告書を提出する。

 イラン、北朝鮮などの核計画や「核の闇市場」発覚で核兵器開発への「抜け穴」が表面化。エルバラダイIAEA事務局長は、核燃料サイクルの普及に伴う核物質の拡散を「核不拡散体制のアキレスけん」と強調する。

 IAEAは計4回の専門家委員会を開催。(1)核兵器転用が可能な高濃縮ウランやプルトニウムの民生利用を制限し、多国間管理下でのみ許可する(2)使用済み核燃料などの処理や管理を多国間で実施する――を論議していく。

 ただ国際管理による規制は、各国の「エネルギー主権」の制限につながるほか、核保有国と非核保有国、民生用の核技術先進国と開発途上国の思惑は異なっており、核不拡散に向けた解決策の調整は手間取りそうだ。


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