[原子力産業新聞] 2004年9月2日 第2249号 <3面>

[米NEI] カーネギー報告書批判

 米原子力エネルギー協会(NEI)はこのほど、カーネギー平和財団宛ての文書で、商業用ウラン濃縮を全世界で3年から5年間、一時停止するとする同財団の報告書(本紙7月15日号3面参照)に強く反対を表明した。NEIのコルビン理事長は、北米や欧州の商業用ウラン濃縮に、核拡散のおそれはないとし、むしろ、濃縮施設の閉鎖により、世界の電力需要の16%を満たす原子力発電用核燃料の不足、停電、電力価格の高騰、濃縮産業の崩壊に至るおそれがあると述べた。

 「この報告書は、高度な原子力計画を持った国にある核物質が、『ならず者国家』の核開発計画よりも、核拡散脅威が大きと指摘しているが、これは不正確で、不必要に扇情的だ」とコルビン理事長は批判する。

 仏、英、日などが使用済み核燃料を再処理していることについて、「これらに、北朝鮮と同様の核拡散脅威があるという指摘は、国際関係に害をなす」と指摘。また、「不法に軍事用核開発を進めている国があるという現実問題から、注意をそらすものだ」とコルビン理事長は批判している。


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