[原子力産業新聞] 2004年9月16日 第2251号 <2面> |
[韓国] プル抽出・転換も IAEA理事会で事務局長が発表13日からウィーンの本部で開かれている国際原子力機関(IAEA)理事会で、エルバラダイ事務局長は、韓国原子力研究所で1980年代に、IAEAに報告しないまま、150キログラムの金属状の天然ウランの転換がおこなわれ、さらに1980年代初期には、2・5キロキログラムの減損ウランの照射と、少量のプルトニウム分離が行われていたと述べた。これは、同事務局長が13日、理事会の冒頭報告で明らかにしたもの。 これらの「実験」は、先に明らかになったウラン濃縮活動と同様、追加議定書実施のための冒頭報告作成の段階で明らかになったとされる。また、減損ウランの照射は、環境サンプリングから、照査されたウランとプルトニウムが検出されたことから、韓国側が明らかにしたという。これらの「実験」は韓国政府の了解無しに行われたとされている。 エルバラダイ事務局長は、転換、ウラン濃縮、プルトニウム分離などが、保障措置協定に定められたIAEAへの通報無しに行われことに、「重大な懸念」を表明、韓国政府に対し、IAEAへの協力と最大限の透明性を求めた。 プルトニウム分離実験について、韓国原研は、ソウルにあるTRIGA型研究炉で、81年7〜12月に行われた実験で、5本の燃料棒を試験照射し、燃焼度測定のための化学分析実験のさい、ウランと極微量のプルトニウムを混合状態で分離したとしている。同様に、81年から87年に2回、4本の燃料棒を照射したが、プルトニウム抽出は行わなかったとしている。 韓国の科学技術部(省)は、「抽出したプルトニウムは極微量」とし、核兵器計画とは無関係な初歩的実験だったと説明している。 |