[原子力産業新聞] 2004年9月24日 第2252号 <1面> |
[総合資源エネルギー調査会] 国の検査で管理検証総合資源エネルギー調査会の美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会は17日、第5回会合を開催し、中間とりまとめ案などを検討した。同案では配管減肉管理について、適切な余寿命評価と補修を実施すれば安全上の問題は生じないとし、今後、原子力保安検査官による保安検査や原子力安全基盤機構による定期安全管理審査の際に、配管管理の検証を実施する方針を明示。委員からは、国による管理強化の印象が強い、配管毎の減肉速度差のリスクに対する考慮が必要などの意見も出された。 中間とりまとめ案は、配管破損メカニズムの調査結果、配管減肉管理の現状と今後の対応、破損部位の管理状況、減肉に関する保守管理状況の検証、当面の対応策などからなっている。 そのうち配管減肉管理の現状と今後の対応については、一部の減肉率がPWR管理指針を上回り、今後データ追加による検証が必要だが、「点検を実施している部位に適切な余寿命評価が行われ、これに基づき補修又は取替えが行われている限り、安全上の問題は生じないと考える」と明示。 しかしPWR関係者は、最近の知見を参考に、中立的な機関により透明性のあるプロセスで検討し、新しい民間指針を取りまとめ公開すべきとし、その検討項目として、測定実績を踏まえた減肉率と測定範囲、全数点検とサンプリング点検の区分、点検頻度、必要最小肉厚と健全性評価方法、測定方法の検討などを挙げている。 また破損部位の管理状況では、関西電力、三菱重工業、日本アームが関与した減肉管理にミスが生じた背景には、関西電力の品質保証、保守管理が機能していなかったことがあると見られると指摘している。 一方、当面の対応については、定期事業者検査における配管減肉管理の徹底検証、技術的指針の明確化、品質保証及び保守管理の徹底などを列挙。減肉管理の徹底管理については、検査官による保安検査の際に「配管の肉厚管理の実施方針及び実施状況」を確認するとともに、定期安全管理審査の際にも、「事業者検査の実施体制を確認すべき」とする一方で、これら配管を国による定期検査の対象とすべきかどうかについては「慎重な検討が必要」としている。 技術的指針の明確化では、現在、日本機械学会が規格を策定している「発電用設備の配管肉厚管理手法」に、電力各社の実測データなどを反映させ、「より精度の高い規格とする努力が重要」と言及。さらに品質保証及び保守管理の徹底については、点検リストを体系的に作成し、統一的に管理することを求めるとともに、権利義務関係の明確化など外注管理の徹底を要請。あわせて全事業者に対し、「事故やトラブルあるいは技術的知見を体系的に水平展開すべき」としている。 委員からは、配管毎の減肉速度差のリスクとともに、国による管理強化の印象が強い、検査漏れに対するマネージメント上の問題点の究明が不明確、などの意見も出された。 |