[原子力産業新聞] 2004年9月24日 第2252号 <3面>

[IAEA] イラン問題で「最後通告」

【ウィーン18日共同】国際原子力機関(IAEA)定例理事会(35か国)は18日、イランが7月に踏み切った遠心分離機の製造・組み立てなどの再開に「深刻な懸念」を表明、次回11月理事会までにウラン濃縮関連活動の即時停止などIAEAへの完全協力を求める非難決議を全会一致で採択し、閉会した。

決議は11月理事会で国連安全保障理事会への付託も視野にイラン核計画が平和目的かどうか最終的に判断するとしており、イランに対する事実上の「最後通告」。国際圧力がさらに強まるのは確実で、イランの核問題は同国がウラン濃縮関連活動の再停止に応じるかどうかを焦点に重要な局面を迎える。

決議は11月25日に予定される次回理事会までに、核問題解明のための「あらゆる措置を取るよう強く促す」と、イランに全面協力を要求。保障措置協定の履行状況と、ウラン濃縮関連活動の停止状況を中心に、理事会への報告書取りまとめをエルバラダイ事務局長に求めている。

また、11月理事会で「さらなる段階に進むことが適切かどうか決定する」と明記。イランの保障措置協定の義務履行に関し、国連安保理への付託などを判断するとしている。

今回の理事会では米国がイランの協力期限を「10月31日」と明示する強硬な決議案を主張したが、英国、フランス、ドイツの欧州3か国が拒否したため米国が譲歩し、期限を示さない形で決着。3か国は17日夜、決議案を上程した。


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