[原子力産業新聞] 2004年9月30日 第2253号 <2面>

[原子力委員会] 4種シナリオを検討

原子力委員会の新計画策定会議は24日、第8回会合を開催し、4種類の基本シナリオを技術的成立性、政策変更に伴う課題などの視点から議論した。同会議はこのシナリオを十項目の視点から評価中だが、次回10月7日開催予定の会合の経済性と核不拡散で項目毎の評価を一応終了、サイクル政策を決定する総合評価の議論に入る予定。

事務局は技術的成立性について、各シナリオを構成する技術成立性は高く、大きな差は無いとし、全量再処理は経済性向上、FBRサイクル実用化等の研究開発が必要。全量直接処分は日本の自然条件に対応した技術的知見が欠如などとした。また、政策変更した場合、立地地域との信頼関係、海外からの返還廃棄物の処分、早急な直接処分技術の研究開発の開始、六ヶ所再処理施設への使用済み燃料搬出不能による発電所停止、過去の投資の経済的損失、などの課題があるとした。

委員からは「政策変更の必要性は見当たらない」(草間委員)、「再処理を含む原子力技術の波及効果は大きい」(庭野委員)、「技術成熟度が重要で、直接処分の知見は乏しい」(殿塚委員)、「直接処分によるプルトニウムの非可逆的廃棄は現状の技術的知見では可の判断はできない」(山名委員)、「政策変更は人材損失や技術力低下につながる」(笹岡委員)、「直接処分する場合、処分までの間の使用済み燃料の処置が大きな問題」(勝俣委員)、「再処理はFBRに過剰に期待しており、今後国民負担がより大きくなる」(伴委員)などの意見が出された。

今回の会合では美浜3号機の事故以来、藤委員が初出席。事故を陳謝し、再発防止や地元との信頼回復に全力を挙げる考えを述べた。また、地元との信頼関係という観点からも政策変更を軽々しく論じるべきではない、とした。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.