[原子力産業新聞] 2004年10月7日 第2254号 <1面> |
[原子力委員会] 長計意見を聴く会 再処理必要性で議論原子力委員会は4日、第16回「長計についてご意見を聴く会」を米国・プリンストン大学のフランク・フォン・ヒッペル教授を招き開催した。同教授は核物質防護の観点から、プルトニウムや高濃縮ウランの保有を抑制すべきと主張、六ヶ所再処理工場も15年程度は稼働の必要性がないのではとの見解を示した。 同教授は、ロシアの兵器用高濃縮ウランの保有量は300〜900トン、同プルトニウムが95〜145トンと推定、各国の最近の核物質保有量を示した。その上で、高濃縮ウランやプルトニウムは管理の困難さやテロ対策の観点から、貯蔵量、貯蔵施設、利用施設などの削減が必要とし、特に利用する目途の無いプルトニウム抽出は避ける必要があると提言。日本が2002年末で38トンのプルトニウムを保有している点や今後のMOX燃料使用量を考慮すると、六ヶ所再処理工場は当面稼働の必要性がないと提言。コスト面からも中間貯蔵が優位で、乾式貯蔵を採用すべきとした。 これに対して齋藤伸三・原子力委員長代理は「15年間、再処理施設を放置すれば技術継承や人材確保などが困難になる。エネルギー政策は長期的な視点が重要」とした。また、アドバイザーとして出席した宅間正夫・原産副会長は「ウラン燃料の利用は、地球の大気環境の悪化にどう対応するかなど総合的な観点が必要。人類の英知によりウラン燃料を制御し、いかに有効利用するかを考えるべき」と提言した。 |