[原子力産業新聞] 2004年10月28日 第2257号 <1面> |
[原子力委員会] 「再処理で決着済み」が多数原子力委員会は22日、第10回新計画策定会議を開催、核燃料サイクル政策の取りまとめについて議論した。事務局が示した同政策の基本的な考え方の選択肢は、再処理路線ベースと直接処分路線ベースの2案。これに対し、委員からは「前回の議論で再処理路線に意見集約しており、路線選択の段階は終えている」などの意見が多く出された。次回来月1日の会合で、再処理路線ベース案が合意され、議論はFBRを始めとする技術開発の在り方などの検討に入る見通し。 事務局が示した再処理路線ベースの基本的考え方は、「当面は能力範囲で再処理し、これを上回る使用済み燃料は中間貯蔵する。中間貯蔵した燃料の再処理は2010年頃から検討を開始、六ヶ所工場の稼働終了までに新施設が稼働するよう決定する。国はこの基本路線に沿い、必要な研究開発体制、経済的措置の整備を実施するとともに核不拡散、広聴・広報活動に取り組むべき。特にプルサーマル推進や中間貯蔵施設立地について一層の努力が必要で、民間事業者はこの考え方に則り、安全性・信頼性の確保と経済性に配慮した事業推進が期待される」。 現行長計は全量再処理を前提に、2010年頃から第2再処理工場の内容を検討するとしているが、今回の考え方では、中間貯蔵後の使用済み燃料の処理方法をやや幅広く検討できる表現にしている。 一方、直接処分路線ベースの基本的考え方は、「経済性重視の観点から今後は直接処分を基本方針とする。当面、使用済み燃料は中間貯蔵し、この間に直接処分のための研究や技術的知見の蓄積に努める。エネルギー基本計画等との整合性を図るため、諸制度、手続、運用を見直すとともに、原子力発電所停止期間の最小化に全力をあげる」などとする。 事務局の2案併記は、一部委員の「経済性は重要」との意見に配慮したもの。しかし、「再処理路線ベース案を支持する」、「すでに前回の議論で再処理路線への意見集約を終えており、今会合の検討素案として2案併記は不要」、「次回会合では再処理路線の基本政策を取りまとめて欲しい」などの意見が大多数。一方、伴委員はコスト高や再処理工場への不信を理由に再処理政策の転換を求めた。また、井川委員は「このまま大多数の意見で取りまとめても後々、従来と同じように一部反論が蒸し返される。反対意見に対して一定の回答が必要ではないか」とした。 なお、本会議では前会合で一部委員から算出要請が出された各シナリオの事業費総額(サイクルコスト合計)について、全量再処理43兆円、全量直接処分30〜39兆円などとする試算が示された。 |