[原子力産業新聞] 2004年11月4日 第2258号 <1面>

[四国電力] 伊方3プルサーマル計画 愛媛県と伊方町が事前了解

 四国電力が伊方発電所3号機(PWR、89万kW)において、2010年度までの実施を予定しているプルサーマル計画について、愛媛県および伊方町は1日、四国電力が同計画に係る原子炉設置変更許可申請を、国に行うことで了解した。これを受け4電では同日15時、経済産業省に対して原子炉設置変更許可を申請。相次ぐトラブルなどで足踏み状態が続いていたわが国のプルサーマルが、これにより実現に向けて本格的に動き出すことになる。

 ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を通常の原子炉で利用するプルサーマルについて、四国電力では伊方発電所3号機での実施を計画し、今年5月10日に地元自治体である愛媛県および伊方町に対し、安全協定に基づく事前了0解願いを提出したほか、9月4日には伊方町において、プルサーマル計画に一層の理解を得ることを目的に、地元住民を対象にした説明会を開催するなど、着々と準備を進めていた。

 一方、加戸守行愛媛県知事は10月28日の定例会見で、@専門家や関係団体の代表者等で構成する「伊方原発環境安全管理委員会」等での審議A県議会の議論B中元清吉伊方町長が来庁した際、住民説明会の実施状況を踏まえた町議会の意向を踏まえて、町としては原子炉設置変更許可申請について了解することとした旨の報告を受けた――などから、「あくまでも申請に関しての判断」であり、国の安全審査が終了した後には個別具体的な安全評価結果等について検討するなど安全確保を大前提に、事前了解願いを受け入れる方針であることを表明。今月1日に石川勝行県民環境部長が、県庁で四国電力の太田克己副社長と会談し、国への申請手続きを了解することを伝えた。

 4電の計画するプルサーマルは、伊方3号機の燃料集合体157体のうち、MOX燃料集合体を最大40体装荷する計画。これに伴い、燃料取替用水タンクのほう素濃度等を変更。2010年度までの実施を目指している。

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 愛媛県および伊方町が、プルサーマル計画の国への申請を了解したことについて、四国電力の大西淳社長は1日、「地元の皆様をはじめ、愛媛県、伊方町の関係者の皆様方に対して、厚く御礼を申し上げる」するコメントを発表した。

 大西社長は、「当社では、プルサーマル計画の推進を経営の重要課題と位置付け、伊方3号機における2010年度までの導入を目指し、全社を挙げて取り組みを進めてきたところだ。今回のご了解は、プルサーマルの意義や安全性について、地元の皆様から一定のご理解を賜ったものと受け止めており、誠に有り難く思っている。申すまでもなく、同計画の推進に当たっては安全を最優先に取り組むとともに、地元の皆様のご理解を得ながら進めていくことが重要と考えているので、今後とも、ご理解・ご支援を賜るよう、よろしくお願い申し上げる」と、コメントしている。


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