[原子力産業新聞] 2004年11月4日 第2258号 <1面>

[原子力委員会] 策定会議 「再処理を基本」で合意

 原子力委員会の新計画策定会議は1日、第11回会合を開催、次期長期計画でも引続き再処理路線を核燃料サイクル政策の基本方針とすることで合意した。今後、FBRを始めとする技術開発など同路線に係わる様々な課題も検討の見通し。核燃料サイクル政策はこれまで10回にわたり、コスト比較も含め多角的に検討されてきたが、今回の基本方針合意により、六ヶ所再処理工場のウラン試験開始に向けた動きが活発化すると見られる。

 今会合も前回に引続き、再処理路線ベース案と直接処分路線ベース案について議論した。ほとんどの委員は、@FBRも考慮すればエネルギーセキュリティの優位性がかなり大きいA高レベル廃棄物の長期的潜在有害度・廃棄量・処分場面積など環境適合性に優れるB地元との信頼関係C技術インフラ、国際的理解などの継続D施策変更コストを含めればコスト的にも割安E我が国の自然条件に対応した直接処分の技術的知見の欠如――などから再処理路線ベース案を支持。

 山地委員も「二者択一ではないと考えるが、再処理に反対はしない」と、再処理ベース案を基本的に支持、ただ将来の直接処分の選択も含めた多様な選択肢が盛り込まれているかという点の確認を求めた。これは同案が、「再処理を基本方針に、2010年頃から中間貯蔵分の使用済み燃料処理の方策を検討。この検討は基本方針を踏まえ柔軟性にも配慮する」などとしているため。

 一方、直接処分路線ベース案を明確に支持したのは伴委員のみ。再処理に伴う全廃棄物量の増大などをその理由に挙げた。また、吉岡委員が海外からの返還プルトニウムの使用が進むまで再処理工場の稼働凍結などの修正案を提案したが、同意する委員は無く、渡辺委員は本会議で日本原燃から再処理事業リスク等の説明を受けることを求めた。

 前回と今回の議論で、両ベース案に関する各委員の意見が出尽くしたことから、近藤議長は「次回、再処理路線ベース案をブラッシュアップしたものを提示、今後はその内容をご検討頂きたい」と提案、策定会議はこれを了承した。


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