[原子力産業新聞] 2004年11月4日 第2258号 <2面>

[原文振] 「原子力の日」シンポジウム開催

 日本原子力文化振興財団は10月26日、東京・有楽町朝日ホールで第41回原子力の日シンポジウム「社会・環境・原子力」を開催した(=写真)。約410名が参加、エコロジストのブルーノ・コンビ氏の講演やパネル座談会が行われた。

 冒頭、秋元勇巳理事長は「暑い夏の原因の一つは温暖化、一方で石油価格が高騰する。二酸化炭素を出さず安定した原子力を見直す時期。ただ、不祥事や事故で安心して原子力に頼れない状況、関係者の更なる努力が必要」と挨拶した。

 コンビ氏は、今後も大幅増のエネルギー消費動向、高価格化の石油価格動向、2100年には現在の約3倍の1200PPMとされる大気中の二酸化炭素濃度動向などを解説し、今後の原子力の重要性を強調。コンビ氏はさらに、「使用済み燃料を再処理すれば高レベル廃棄物量は少く、MOX燃料は環境面からも利用価値が高い。リスクゼロのエネルギーは無く、丹念な設計・構築作業と入念な運転により、原子力は安全でクリーンなエネルギーとなり、人類の将来に不可欠」とした。

 パネル座談会のパネリストは、ウェザーキャスターの石原良純氏、鳥井弘之・東工大教授、斑目春樹・東大教授、宮脇昭・国際生態学センター研究所長で、コーディネーターは宮崎緑・千葉商大助教授。

 まず、今回の美浜の事故を取り上げ、「事故は原子力と直接関係ないが、原子力に携わる者の安全姿勢を問われており極めて重要」(斑目教授)、「一般には原子力事故と伝えられた。伝える側も判りやすい説明が必要」(石原氏)、「美浜の事故原因は多くの分野で経験済み。この経験を活かせないのは、原子力の閉鎖性では」(鳥井教授)、「技術にはリスクが伴う。リスクが無いと宣伝するのは非科学的。それぞれが責任を持つことが基本」(宮脇所長)などの意見が出された。

 この後、地球環境の今、エコロジーとエネルギーなどのテーマに様々な意見・提言が出され、「いのちの森」の重要性、環境問題に立ち向う上で夢のある原子力の必要性が訴えられた。


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