[原子力産業新聞] 2004年11月4日 第2258号 <3面> |
[米DOE] 宇宙探査機用RI電池 アルゴンヌ国立研に製造施設米エネルギー省(DOE)は10月20日、アルゴンヌ国立研究所(ANL)で、宇宙探査機等に使われるラジオアイソトープ(RI)電池の新たな製造施設が完成したと発表した。この施設は今年末から稼働を開始、2006年1月にNASAが打ち上げを計画している冥王星探査機「ニューホライズン」用のRI電池製造・試験に取りかかる。 RI電池は、α線を放出するプルトニウム238を熱源とし、熱源と放熱板につないだ熱電対によって発電する。プルトニウム238が使われるのは、α線のみでγ線を放出しないので、遮蔽が不要で、小型・軽量にできるため。ニューホライズン用のRI電池には、熱源として酸化プルトニウム・ペレットが72個装着され、228Wの電力を生む。 熱電対で発電を行うRI電池は、変換効率が低いものの可動部分がないため、長期にわたる高信頼性が特徴。DOEは1960年代以来、40以上のRI電池を宇宙に打ち上げている。1977年に打ち上げられ来年末には太陽系を離れるボイジャー1号機からは、27年経った現在でも信号が送られて来る。また現在、土星の衛星タイタンを探査中の「カッシーニ」には285WのRI電池が三基、搭載されている。 DOEは来年2月から、ANLの研究開発部門と、アイダホ国立工学環境研究所を統合し、アイダホ国立研究所(INL)を設立する予定。INLは米国の原子力研究・開発の中心となる予定で、RI電池の開発・製造も行うことになる。 |