[原子力産業新聞] 2004年11月4日 第2258号 <3面>

[原子力委員会] ベトナムの原子力導入 FNCA会合で発表

 原子力委員会は10月20、21の両日、東京・千代田区のホテルで、第1回「アジアの持続的発展における原子力エネルギーの役割」検討パネルを開いた。アジア原子力協力フォーラム(FNCA)活動の一環として行われたもので、中国、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、日本の各国から、エネルギー関係の行政官や専門家等が参加した。

 同検討パネルは、今年度から3年間の予定で設置、アジアが持続的に発展するためのエネルギー需給における問題を、環境への影響、安定供給、経済性等の面から検討するとともに、原子力が果たしうる役割を明らかにするもの。参加各国の報告では、中国が2020年に原子力を3600万kWまで増やすと発言、一方、ベトナム代表は、2017〜2020年に200万〜400万kW規模で原子力発電を導入したいと述べた。

 挨拶に立った近藤駿介原子力委員長は、「1999年から2020年までに、世界のエネルギー需要は60%増加すると予想される」とし、特に東南アジアの途上国でその伸びが大きいと予想、「急速に発展するアジアでは、電力供給ネットワークを二倍にする必要がある」と述べた。

 持続可能な発展にはエネルギー・システムでの技術革新が不可欠とし、@エネルギー利用効率の向上A再生可能エネルギーの開発B安全な原子力技術の開発・実用化――が重要とした。 日本エネルギー経済研究所・アジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)の鄭龍憲副所長は、「アジアにおける経済成長とエネルギー需要予測」と題して講演。「エネルギー・セキュリティは持続可能な発展にとって死活的に重要」として、「原子力発電のない世界は、持続可能性が乏しい」と述べた。

 一方、電力産業の自由化進展に伴い、金融セクターの役割が重要になるとともに、民間企業は短期的な利益を求めるようになり、長期的な公益を求める政府とのギャップが大きくなっていると警告した。

 アジアで持続可能な成長を達成するためのオプションとして鄭氏は、改良型原子炉などの技術開発、原子力による水素製造などのエネルギー貯蓄技術の開発などを挙げた。

 カントリーレポートで、中国代表は2020年までに原子力発電を3600万kW、電源シェアを四%まで増やすとし、インドネシア代表は、原子力発電所を2016年に運転開始したいと述べた。原子力発電導入の予備可能性調査を進めているベトナムの代表は、2017〜2020年に最初の原子力発電所を導入したいと発表した。導入規模は200万〜400万kW。現在、同国副首相が予備可能性調査報告書を検討中で、年内にも首相府での検討に回される予定だとした。


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