[原子力産業新聞] 2004年11月11日 第2259号 <1面>

[産構審・将来枠組み検討専門委] 「原子力をCDM」明記

 産業構造審議会環境部会の地球環境小委員会は4日、第25回会合を開催、将来枠組み検討専門委員会の中間取りまとめ案、京都議定書の約束達成に向けた道筋などを検討した。この中で、藤洋作委員(電事連会長)は同中間とりまとめ案に、原子力発電をクリーン開発メカニズム(CDM)の対象にすることが明記された点について、「明記を高く評価しており、今後政府全体の認識とし、国際合意に向けた努力をお願いしたい」と要請した。

 同中間とりまとめ案は、今年1月以来、8回の多面的な審議により10月に作成された。将来枠組みの具体的なあり方として、各国の具体的行動へのコミットメント、数値目標、レビュープロセス、適応などについて提言。CDMは「先進国による途上国の持続可能な開発への協力が容易となるよう、途上国の省エネルギーなどへのインセンティブとして新たに制度設計する」とし、この中で「安全と核不拡散の確保を前提として、原子力を対象とする」と提言した。

 藤委員の要請は、これを受けたもので、「発電用化石燃料を原子力に変更することにより、世界の二酸化炭素排出量の約10%、23億トンあまりを削減できる。中間とりまとめに原子力を対象とする、と明記されたことを高く評価し、今後、国際会議の場などを通じて国際合意を目指して欲しい」とした。

 京都議定書はロシアの批准により来年二月発効の見通し。将来枠組みは、議定書発効にともない2013年以降のコミットメントについて、各国が来年末から検討を開始することになっているが、予備的な議論は早期に行うべきと主張する国も多い。

 京都議定書の約束達成には七〜八%の追加削減が必要で、増税なき約束達成を目指し、省エネ対策の抜本強化、京都メカニズムの本格活用などが議論された。


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