[原子力産業新聞] 2004年11月18日 第2260号 <3面>

[米DOE] INL設立で業者選定 バッテルグループに決定

 米エネルギー省(DOE)のエイブラハム長官は9日、米国の原子力の研究・開発・教育で新たな中心拠点となるアイダホ国立研究所(INL)設立について、主契約者にバッテル・エナジー・アライアンス(BEA)社を選んだと発表した。同社は、競合する他の3チームを退けて選ばれた。

 INLは、現在のアイダホ国立工学・環境研究所(INEEL)とアルゴンヌ国立研究所(西)の研究・開発部門を統合するもので、2005年2月1日に発足の予定。研究所長には、米海軍で大西洋艦隊の潜水艦隊司令官を務めていたJ・グロッセンバッチャー氏が就任する。

 BEAとの契約は期間10年間、総額48億ドル(約5040億円)の契約となる。BEA社は、バッテル・メモリアル研究所(BEA社の親会社)、BWXTサービシーズ社、ワシントン・グループ・インターナショナル社、電力研究所(EPRI)およびマサチューセッツ工科大学(MIT)がチームを組む。

 エイブラハム長官は、「BEAチームは極めて優秀であり、長期的なエネルギー安全保障を確保するために、世界規模の学際研究所となるINLを作り上げる」と述べた。INLが扱う分野は、材料、化学、環境、計算、シミュレーションなど広範囲に及ぶ。また、国の安全保障確保のために、その技術と専門知識を国の基幹インフラの保護および核不拡散に応用する。

 INLの主要任務の1つは、国際的な研究・開発計画を主導して、第4世代原子力システムである次世代原子力発電所(NGNP)の開発を行い、水素経済社会の実現に向けて、安価な電力と大量の水素を生産し、輸入化石燃料への依存度を減らすことである。

 INLはまた、高度エネルギー研究センターの設立を目指す。これは、原子力科学技術で国際的に認められた高等教育訓練の拠点としたい意向。


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