[原子力産業新聞] 2004年11月25日 第2261号 <3面>

[フランス] アレバ株式を市場で売却 経済・財政・産業相が方針

 フランスのN・サコルジ経済・財政・産業相は10日、事実上仏政府が保有する原子力企業グループAREVAについて、全株式の35〜40%を市場に放出すると発表した。市場の状況を見ながら、来年にも実施される見込みだが、仏政府はAREVA株式の過半を保持、影響力を維持するとしている。

 AREVAは核燃料サービスのコジェマを100%所有、また原子炉メーカーのフラマトムを66%所有する、事実上の国有会社。現在、AREVA株式の79%は仏原子力庁(CEA)が、5%を財務省が保有、また国営の公社等が12%を所有しており、パリ証券取引所に上場され取引されている株式はわずか4%程度だ。AREVAの株価は、昨年12月の200ユーロ弱から、今年9月末には300ユーロ近辺へと大幅に上昇、11月22日現在、270ユーロ台で取引されている。

 アレバ社は2003年、総売上82億5500ユーロ(約1兆1144億円)のうち、原子力部門が83%にあたる68億3000万ユーロ(約9220億円)を売り上げている。営業利益率は4.1%、売上げの63%は仏国外からのもの。

 サルコジ経済相は、証券取引所で売買される浮動株式の割合を、現在の4%から、35〜40%程度とする方針を示しながらも、仏政府は直接・間接的に50%以上を保有し、AREVAの管理権を握り続ける意向だ。サルコジ大臣は、株式放出の目的を「同社が長期的に事業を展開できるようにするため」としている。

 共産党系の労組労働総同盟(CGT)、社会党系の仏民主主義労働組合(CFDT)とも、AREVAの民営化拡大には反対しておらず、むしろこの機会に社員の持株割合を10%程度へ引き上げることを目指している。

 AREVAのP・ポンテ監査役会議長は、「2001年にAREVAグループが結成されたときから、株主は浮動株式の増加を求めており、取締役会にその準備を行うよう求めてきた」としている。また、A・ローベルジョン会長は政府の決定に満足の意を表明、「AREVAは発電・送電技術に関して世界のリーダーとなっている。浮動株の拡大により、事業拡大に必要な資金を供給できる」と述べている。


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