[原子力産業新聞] 2004年12月2日 第2262号 <1面>

[政府] 原研開発機構法が成立

参議院の文教科学委員会は11月25日、独立行政法人日本原子力研究開発機構法案を審議し、与党の賛成多数で可決した。翌26日の本会議でも同様に可決(=写真)、同法案が成立した。これにより日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の来年10月1日付けの統合が正式に決定され、今後新法人の中期目標・計画、組織体制、理事長をはじめとする人事などの検討が本格化する。

委員会、本会議とも自民、公明の賛成に対し、民主、共産など野党は反対、本会議は投票総数226票に対し賛成128票、反対98票だった。

委員会では自民・民主の各2委員、公明・共産の各一委員が質問。統合の意義、新法人の組織、累積欠損金の処理方法、原子力委員会と原子力安全委員会の統合についての見解、現2法人と新法人の業務内容の変更点、情報開示と秘密守秘義務の関係、核燃料サイクル政策と技術開発、安全確保への取組みなどを質した。

自民党の河合常則委員はJ─PARCの完成予想が海外の同様の加速器に比べ遅くはないか、新理事長には民間人を起用すべきでは、などの点も指摘。同じく山本順三委員はITER誘致への一層の努力を要請。民主党の下田敦子委員はIAEAの多国間管理構想の可能性を確認、同構想と国内再処理の不要性を指摘した。同じく小林元委員は「もんじゅ」の維持管理費が96年度以降で800億円を超える状況であることを確認、「もんじゅ」に対する文科省の対応を質した。また、共産党の小林美恵子委員は両法人の安全研究がここ数年大幅に減少している点などを指摘。野党側は反対理由として、原子力長計策定後に改めて審議すべきなどとした。

同法案には参議院でも、@安全確保に万全を期するA中期目標・計画の策定・認可は長期計画や安全確保基本政策との整合性を図るB守秘義務濫用に配慮するC理事長は広く内外からの起用を配慮するD自立的かつ創造的な研究開発環境の確保に努め大学・民間企業との連携推進に努める――などの附帯決議を附与した。

新法人は総人員が4000名以上、年間予算が2000億円以上となり、基礎研究からプロジェクト研究まで一貫して実施、研究活動を一層活性化するとともに、人材・施設の効率的活用にも注力する。


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