[原子力産業新聞] 2004年12月2日 第2262号 <1面> |
[原子力委員会] 安全確保テーマに議論原子力委員会は11月24日、第13回新計画策定会議を開催し、原子力発電の安全確保について議論した。前会合で核燃料サイクル政策の中間取りまとめを終え、今回から第2のテーマとして原子力発電の議論を開始。まず安全確保を取り上げたが、規制の有効性、規制体制、高経年化対策など様々な意見が出された。今月10日の会合で事業者から意見聴取し課題を整理、次期長計に盛り込む内容を検討する。 今会合では原子力安全・保安院と文部科学省原子力安全課が現在の安全規制制度や今後の検討課題などについて説明、続いて各委員が意見を述べた。 規制の有効性や合理性では、「現場には検査に検査を重ねることが本来の姿かという疑問がある。事故で被害を受けるのは現場であり、緊張感を持っているが、非現実的なものは現場の意識の低下につながる。あるべき姿を考えるため、規制側と規制を受ける側の対話が必要」(笹岡委員)、「研究開発では特に複雑な規制を受け、同じ廃棄物でも規制区分別に異なる除染設備が必要になる。事業規制ではなく物質規制にすべき」(殿塚委員)、「科学的・合理的規制をいかに構築するか、事業者としてはこれを如何に徹底するかが課題。実体に合わせた規制にするとともに、地元をはじめ広く説明し、国民の理解を求める必要がある」(勝俣委員)、「米国の規制を参考にとの意見もあるが、NRCは代金を受け取り検査し、修正すべき点をアドバイスするという方式で、これが日本に馴染むか疑問がある」(神田委員)などの意見が出された。 規制体制のあり方では、「安全委員会との関係で、行政側の責任の所在が不明確」(渡辺委員)、「ダブルチェック体制の有効性を事例で示して欲しい。有効でないなら規制資源の有効活用との観点から内閣府への一本化を検討すべきでは」(山地委員)、「保安院が独立するメリットとリスクを検討すべき」(伴委員)などの意見が出された。 また、安全確保の上でも人材育成が重要との意見が複数の委員から出されたほか、高経年化では特別な対策が必要、との指摘に対し保安院は、「高経年化対策は早い時期に本格検討を開始したいと考えている」とした。 このほか、原子力安全委員会との分担から、原子力委員会の長計に安全確保をどのように盛り込むかについても意見交換されたが、安全確保を実現するための方向性などを盛り込むべきとの意見が多く出された。 |