[原子力産業新聞] 2004年12月2日 第2262号 <2面>

[文部科学省] 文科省、クリアランス制度導入へ

文部科学省の放射線安全規制検討会は11月17日と29日に、第14回および第15回会合を開催し、クリアランス制度導入などを検討した。同制度については今後、加速器放射化物とRI廃棄物の2グループに分けて検討を進め、今年度中に中間報告を取りまとめる方針。

クリアランス制度は第13回会合からテーマとして取り上げている。すでに発電所などの原子力施設から生じる資材に関するクリアランス制度は経済産業省が検討し、原子炉等規制法の改正により2006年1月の施行を予定する。

文部科学省も早期法制化の意向で、第14回会合では事業者側の意見聴取や実態把握を目的に、加速器の廃止について高エネルギー加速器研究機構、RI廃棄物の集荷から処理について日本アイソトープ協会、製薬会社のRI廃棄物の現状について三共から、それぞれ報告を受けた。

高エネ研ではJ−PARCの完成に合わせ、約30年運転してきた陽子加速器を廃止する予定。この際に発生する廃棄物は合計15万トン、この内低レベル放射性廃棄物が4万トン、クリアランスレベル以下の廃棄物7万トン、非放射性廃棄物4万トンなどと推定している。日本アイソトープ協会は集荷事業所2200、年間集荷本数1万6000本(200リットル換算)など、RI廃棄物集荷の現状について報告。三共は非密封RI廃棄物のクリアランスの課題として、排出後廃棄物の検認方法とコストなどを指摘した。医療関係で使用されるRIの核種はかなり限定されることもあり、委員からは核種別収集を検討すべきでは、との意見もあり、今後検認方法などとともに検討の方針。

第15回会合では日本原子力研究所が、現在高エネ研と共同で調査研究を進めている加速器施設等のクリアランス対象物と検認方法について報告した。原研では来年2月までに5施設のサンプリングと測定及び放射化計算を行う予定。


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