[原子力産業新聞] 2004年12月2日 第2262号 <2面>

[原子力安全・保安院] PWR4基で不適切肉厚管理

経済産業省の原子力安全・保安院は11月25日、過去においてPWR発電炉4基で不適切な2次系配管肉厚の管理があったことを原子力安全委員会に報告した。

PWRについては、90年5月制定の「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、余寿命が2年以下の場合は取り替え計画を立案することとなっている。今回の「実用原子炉に係わる04年度第2回保安検査」では、東北電力の東通原子力発電所を除く全発電所に対して、配管の減肉管理を重点検査項目として検査を実施した結果、関西電力を除き、過去に発電炉4基、合計8か所の配管で種々の解釈が適用されるなどの不適切な事例が判明したもの。

具体的には、北海道電力の泊発電所2号機で99年の第6回定検時に、余寿命が1年未満となった配管2か所について実際の運転蒸気圧力で再評価し、運転を継続(第7回定検時に交換済み)。日本原子力発電の敦賀2号機では、01年の第11回定検時に、余寿命が1年未満となった2か所について、実機材料のミルシートによる許容引張応力で再評価を実施し、運転を継続(第12回および第13回定検時に交換済み)。

さらに九州電力の川内1号機では、96年の第10回定検時に余寿命が1年未満となった1か所について実際の運転蒸気圧力で再評価し、運転を継続(第11回定検時に交換済み)。

また、川内2号機では00年の第12回定検および02年の第13回定検時に余寿命が1年未満となった各1か所について実際の運転蒸気圧力で再評価し、運転を継続(第14回定検時に交換済み)。さらに同2号機で、03年の第14回定検時に、余寿命が1年未満となった1か所について、「発電用火力設備の技術基準の解釈について」第4条(材料の許容応力)第1項第1号のただし書きによる再評価を実施し、運転を継続したとしている(第15回定検中に交換予定)。

配管の減肉管理に関しては、日本機械学会で技術的指針を策定中であり、保安院では、これを安全規制上の基準として位置付け、統一的な指針に基づいた管理の実施を目指す。


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