[原子力産業新聞] 2004年12月9日 第2263号 <1面>

[PD認証制度準備委員会] PD認証制度で準備委開く

原子力発電所の再循環系配管などの検査に使用される超音波探傷試験システムにPD(パフォーマンス・デモンストレーション)認証制度を創設するためのPD認証制度準備委員会(委員長=戸田裕己・和歌山大学教授)は1日、初会合を日本非破壊検査協会で開催した。今年度中に制度案を取りまとめ、来年度には制度発足の方針。

PD認証制度は試験員、試験装置、試験要領などからなる超音波探傷試験システムを対象に、高度な測定能力を認証し、重要データであるひび割れ深さの測定精度を保障するもの。超音波探傷試験システム自体は幅広い分野で使用されているが、応力腐食割れ(SCC)によるひび割れの深さを測定するには、高度な技術と測定装置が必要。このため米国などではSCCひび割れ深さの測定ができる技術を有することを認定する制度として、PD認証制度が確立されている。我が国では非破壊試験技術者試験制度があるが一般的な内容で、同ひび割れに対応するPD認証制度は確立されていない。

昨年10月の改正電気事業法の施行により、原子力発電所配管等の健全性評価制度が創設され、今年9月には当初適用が除外されたSUS316LC系再循環系配管も対象とする省令改正も実施、測定の信頼性が重要になっていた。

会合には委員長ほか、6名の学識経験者や原子力安全基盤機構、保安院、電事連、電子科学研究所、電中研、日本非破壊検査協会、日本電気協会、日本機会学会、発電設備技術検査協会などの代表が出席、検討スケジュールや当面の検討課題など意見交換した。今後、月1回程度のペースで会合を開き、認証関連の規格、関連機関の役割分担および連携方法などを検討。本制度の発足により、再循環系配管の健全性を評価する場合、認証済システムでの実施が必要になる見通し。

今年8月の原子力安全・保安部会原子炉安全小委員会で了承された報告書では、PD認証制度は中立性や透明性を確保し民間主体で構築・運営されれば良く、国は民間規格が適切で運営も適切に行われるよう関与することが適当、としている。ただ、同制度は試験体の調達に多額の費用を必要とし、高度な検査技術を確認する一方で、認証対象数がある程度限定されるため、単独の機関での実施は困難な面があり、関係各機関が協力する。準備委員会の事務局は日本非破壊検査協会に設置された。


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