[原子力産業新聞] 2004年12月9日 第2263号 <2面>

[経済産業省] 原子力施設防護で報告書

経済産業省原子力安全・保安院と内閣官房の「有事における原子力施設防護対策懇談会」は3日、わが国に対する武力攻撃や大規模テロが起きた際、原子力発電所を停止する手順や電力の安定供給策についての報告書を取りまとめた。

同懇談会は、「有事等における原子力施設の防護を図る上では、原子炉の運転を適時・適切に停止し、臨界を終息させることが重要であり、そのためには、いかなる手順で原子炉の運転を停止するのか、また、原子炉の運転を停止した際に電力需給にいかなる影響が及ぶのか等について、あらかじめ検討を深めておくことが必要」との観点から今年2月、保安院と有事対応を担当する内閣官房が共催で設置したもので、関係省庁・関係地方公共団体及び電気事業者により構成され、@有事等における防護対策、A原子炉の運転停止の在り方B原子炉の運転を停止した場合の電力供給の在り方――の3点について検討を行ってきた。

報告書では、原子炉停止の手順について、「有事等においては基本的に脅威に関する情報は国が一元的に把握しており、一旦不測の事態が発生した場合には、国が把握する脅威の態様に応じ、関係機関がそれぞれの対処措置を講ずる」としており、具体的には日本への武力攻撃が予想されると国が判断した際、警報を発令し、電力会社は運転停止の準備をするとともに、代替電力の確保などを開始する。また実際に武力攻撃を受けた場合は、国が原子力発電所に運転停止を命令し、電力会社は原子炉を停止。一方、突発的に脅威が発生した場合など特に緊急を要する場合は、原子力事業者は事態の認定、国の運転停止命令を待たず、平時における緊急時対応マニュアル等に基づき、自らの判断により原子炉の運転を停止することができるとしている。

また、原子炉停止の際の電力供給については、代替電源の起動や他社からの融通などで必要量の確保に努め、「国民生活の安定に必要な電力の確保を最優先に行うことを原則としつつ、国民に対し不要不急の電気の使用停止を求め、あるいは使用制限を行うなどして、電気の安定供給に最大限努める」方針だ。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.