[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <1面>

[青森県・東通村] 厳寒の中、力強く歩む寒立馬

 身を切るような冷たい空気の中、新春の弱い光を浴びながらゆっくりと、しかし力強く歩を進める一頭の馬――。今年、運開する予定の東北電力・東通1号機がある青森県東通村の名を一躍全国に広めたのが、02年に青森県の天然記念物にも指定されたこの「寒立馬(かんだちめ)」だ。

 県北東端、晴れた日には北海道を臨む本州最果ての地「尻屋崎」。約670ヘクタールの広大な牧草地に自然放牧される寒立馬は、ずんぐりとした体と太い足が特徴。その性格は人なつこくて大人しいが、成体の体重はおよそ800〜900キログラムと競走馬の倍近くもあるため、遠目にはどことなくユーモラスだが、近くへ寄るとかなりの迫力がある。

 農機具や自動車の普及などをきっかけにその数を減らし、1995年にはわずか九頭を数えるのみとなり、正に絶滅の危機に瀕した寒立馬だが、翌98年には、県と村が「保護対策協議会」を設立。それまで個人所有だった馬を「村の財産」として村が買い上げるなど、官民一体となった努力の結果、現在では35頭を数えるまで回復しているという。(11面に関連記事)


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