[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <3面>

[全米エネルギー政策委] 廃棄物処分など政策提言

 米国の民間団体「全米エネルギー政策委員会」はこのほど、「エネルギーでの膠着状況に終止符を打つ――米国のエネルギー問題に対する両党派の戦略」と題する報告書を作成した。

 同委は、J・ホールデン・ハーバード大学教授らを共同委員長とし、原子力のみならず、天然ガス、改良石炭技術、再生可能エネルギー、地球温暖化防止、エネルギー効率の改善など、エネルギー需給に関わる問題と、その解決策を提言している。

 原子力については、米国で運転中の103基の原子力発電所が、全米の電力の20%を供給しているだけでなく、二酸化炭素を放出しない電源の約70%を占めていることを指摘(=グラフ)。それにもかかわらず、1973年以降に発注された原子力発電所が一基も完成していないことから、このままでは、今後30年間にわたり、古い原子力発電所が停止するに従って、原子力の発電容量が下がっていくと警告した。

 米国内外で原子力発電を維持・拡大していくため、同報告書は、@経済性A事故とテロ攻撃B放射性廃棄物対策C核拡散リスク――への対応が必要だと政策提言を行った。

 セキュリティと安全性については、米原子力規制委員会(NRC)による許認可延長審査のさい、セキュリティの観点も考慮に入れること、新規プラントの許認可については標準化設計を取り入れることを提言。経済性等については、連邦政府が今後10年間、新型原子力発電所の初号機建設に向けた研究・開発・建設のため、20億ドルの予算を提供すること、連邦政府が原子力発電を再生可能エネルギーとして扱うことなどを提言している。

 放射性廃棄物について連邦政府が使用済み燃料処分の確約を守ることを提言。また、国際的な核不拡散枠組みの強化も求めている。


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